カリフォルニア州の新しい療育制度 自己決定プログラム Self-Determination Program (SDP)について

 さて、今号のアメリカからのレポートは、カリフォルニア州における新しい療育制度、「自己決定プログラム」について紹介したいと思います。自己決定プログラム(英語名:Self-Determination Program)は、2013年に当時のブラウン州知事が新州法として署名し、2018年より導入が始まりました。この療育制度は、障害を持つ個人やその家族が、自らの療育サービスについて決定権をもつことができるプログラムで、アメリカ国内でも数少ない画期的なプログラムとなっています。

リージョナルセンターと従来の療育サービス

 カリフォルニア州の行政療育サービスは、リージョナルセンターという州内各地域に21ある非営利民間団体が運営しています。一般的に、リージョナルセンターが提供する従来のサービスは発達、生活、就労面のサポートで、主な役割として、障害をもつ者の発達診断、個別計画書の作成、必要なサービス提供と斡旋、そしてその管理などとなっています。リージョナルセンターからのサービス受給資格があると判断されると、ケースコーディネーターが決められます。診断などに基づいて個別計画書(Individual Program Plan, IPPもしくはIndividual/Family Service Plan, IFSP(0~3歳))が作成され、現在の課題や1年間ごとの目標が確定されます。そして、個別計画書をもとに、セラピーなど必要なサービスが判断され、コーディネーターからサービスの案内がされます。リージョナルセンターで提供されるサービスのほか、センターと契約のあるベンダーといわれる外部業者からのサービスが紹介され、紹介されたもののなかから利用者は選択し、サービスが購入されます。従来のシステムで外部斡旋される主なサービス内容としては、乳幼児の早期介入治療(Early Intervention Program)、就学年齢の子供のアフタースクールケア、行動サービス、社会性トレーニング、言語・作業療法・理学療法・行動療法セラピー、成人向け生活自立訓練や職業訓練、在宅介護、医療サービスなどとなります。これらのサービスは公的資金で運用され、利用者は無償、もしくは一部負担で利用できるようになっています。

自己決定プログラムの概要と特長

 自己決定プログラムは、上記の従来の療育システムに加えて、リージョナルセンターの利用者が選択できる新しいプログラムです。カリフォルニア州発達障害局がリージョナルセンターを経由して運営し、2018年から3年間は、抽選で選ばれた2500名のみがサービス利用を開始しました。3年間の試用期間後は、リージョナルセンター利用者で、自宅もしくは地域(長期ケア施設以外)に住む人は皆、参加資格が与えられる予定となっています。

 自己決定、という言葉からも、このプログラムの目的は、利用する個人が主体となった療育サービスの実施となっています。これまでの療育システムでは、リージョナルセンターの影響力が大きく、利用する側の決定力が制限されていました。利用する側に決定権を与えることで、必要とするサポートやサービスの内容と提供者を個人やその家族が決定し、生活の質全体を上げることができると考えられています。

 このプログラムへの参加を希望する場合は自己申請が必要となります。さらに、申込をした利用者やその家族が、いわばサービスコーディネーターの役割を担い、オリエンテーションやトレーニングに参加したり、個人にあった個人プラン (Individual Program Plan, IPP) を作成し、そのプランの実行へ必要となるサービス提供者やサポートをしてくれる個人(知人、家族でも可)や団体を選択します。従来のサービスでは対象とならなかった教育サービスやレジャー、サマーキャンプなども、個人プランに沿っていれば利用が可能となります。さらに、利用者へ充てられた予算の管理者の選択や選択したサービスの質や効果・成果などの判断も利用者側に託されます。

 従来の療育サービスと比較して利用者の責任は重くなりますが、これまでのシステムで問題視されていた、行政のマニュアル的な対応や利用者側の希望がなかなか反映されないということがなくなります。自己決定プログラムの導入で、療育システム全体の改革と個々のケースで効果が現れることを期待しています。

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