療育・教育にセカンドオピニオンを

 現在、医療では、命に係わるような重篤な病気の場合にはなおさらのことで、最初からいくつかの治療の選択肢を用意し、比較検討しながら最善の方法を選んでいくようです。医療の側も患者の思いに理解を示し、積極的に複数の治療法を提示しようと努めます。いわゆるセカンドオピニオンとい...

《巻頭言》親と子のためのセカンドオピニオン~医療・療育・教育の選択肢~

January 30, 2019

1/4
Please reload

《巻頭言》親と子のためのセカンドオピニオン~医療・療育・教育の選択肢~

療育・教育にセカンドオピニオンを

 現在、医療では、命に係わるような重篤な病気の場合にはなおさらのことで、最初からいくつかの治療の選択肢を用意し、比較検討しながら最善の方法を選んでいくようです。医療の側も患者の思いに理解を示し、積極的に複数の治療法を提示しようと努めます。いわゆるセカンドオピニオンという社会的な慣習です。「患者がセカンドオピニオンを求める」という言葉がすっかり根付いたように、いまでは医療の常識になっています。

 ところが、療育や教育の世界では、その考え方なり対処法が、時代の風潮・社会状況に左右されて、セカンドオピニオンが機能しづらいという現実があります。ある保護者の方がこんなことをいっていました。「療育の場合、改善の兆しが感じられなくて、『これではいけない。どうにかしなくては』と思っても、1年、2年と同じ指導を受け続けてしまいます。そこしかない、別の指導法はないと諦めていたのです」と。

 このように、「発達の遅れや課題」をもつ子の保護者に対して、療育や特別支援教育の専門家から複数の対処法を示される機会は少ないと言ってよいでしょう。「無理をさせずに、好きなことから始めよう」という対処法と、「目を合わせる、発声の仕方をこのやり方で練習してください」という両方の提示があるかどをこのやり方で練習してください」という両方の提示があるかどしようという接し方・教え方を専門家から具体的に説明されることはほとんどないようです。

 早い段階から適切な対応を取っていけば、「発達上の課題」を大きく改善して親子とも大きく変わるという事実を知っている者からすれば、なんとも残念な状況です。

 

 

不登校・偏食に対する親の取り組みかた

 現在、子育てのいろいろな問題を見るにつけ、「子どもの気持ちを優先させ子ども本位にする」というような接し方・教え方に誘導される危険性をあちこちで感じます。

 たとえば、不登校の兆候を見せる子どもについて親が「このままでいいのだろうか。なんとかしたい」と心配しても、受けるアドバイスはどれもこれも「無理に行かせないように。休ませましょう」「学校だけが学びの場ではありません」のオンパレードです。その画一的で無責任なアドバイスが、不登校の増加と引きこもりなどの深刻な事態を招いている大きな原因ではないかと思われて仕方ありません。

 それに対し、自分の子どものことにしろ、教育という大きな世界のことにしろ、保護者や関係者が「セカンドオピニオンを求める」という姿勢をとることによって現状の閉塞感を打ち破ることができるのではないかと思います。

 私どもの教室で学んでいる小学6年生の男の子が5年生の10月に、「学校に行きたくない」と親に言い出したことがあります。しかし、「彼にとって学校は行くべきところ。大事なところ」という私どものアドバイスと親の決心によって、それから毎日親が学校まで登校を渋る子供を連れていきました。タクシー を使った時も数回あります。ある日は、タクシーの中ではランドセルの中身をひっくり返してしまうほど大暴れし、学校の校門で はひっくり返りました。そんな状態が2ヵ月ほど続いたのですが、 結局、親の熱意に後押しされて、彼は以前のように学校に通えるようになり、いまでは休まず登校しています。

 このようなケースでは、専門家は必ず「不登校には原因がある」 「いじめがあると思われるなら、休ませてあげよう」「休ませる 勇気を持ちましょう」「無理に学校に行かせようとしないで」と 異口同音に言います。しかし、なんらかの理由があって登校を 渋り欠席しがちになっているにせよ、大人のほうから「学校に 行く」という目標を外してしまえば、子どもだけでは再登校のきっ かけはなかなかつかめないのではないでしようか。それは、多くの実例が示している通りです。

 いまでは有意義な学校生活を送っている小学 6 年生の彼は、 5 年生の時に不登校を経験しそれを乗り越えたため、家庭内の 心配や不和や混乱も短期間で解消できました。「かわいそうだ。 休ませてあげよう」とは異なる別の選択肢、つまりセカンドオピ ニオンがあることを知り、それを実行された親の見識を見る思 いがします。

 次は、偏食についてです。5 歳の女の子の母親 Sさんは、昨年、 偏食などの問題行動をテーマにしたセミナーに参加した直後か ら教室に通うようになりました。当時 4 歳だった長女は白いご 飯とスティックパン以外ほとんど食べないという深刻な偏食とこ だわりを抱えていたのですが、S さんは改善のきっかけがつか めず、「無理はさせないで」という専門家のアドバイスにずっと 従っていました。

 しかし、偏食による発育障害や栄養障害を心配して参加した セミナーをきっかけに、彼女に必要な「応じる姿勢」を家庭でも求めるようにしました。やがて嫌いな食べ物でも受け入れて 食べようとする気持ちが芽生え、深刻な偏食は改善していき、 いまではなんでも食べる女の子に育っています。そればかりか、 親の言うことをよく聞く、挨拶ができる、静かに待っていられるなど、バランスのとれた力を持つ子どもに育っています。S さん は当時を振り返ってしみじみと言いました。「教えるべき時期に、 しっかり教えないといけませんね」。

 こうして考えてくると、専門家のアドバイスに対しては、その アドバイスによる事例・実例をしっかり確認し、耳障りのよい 言葉、努力を伴わないような助言に振り回されず、「セカンドオ ピニオンを求める姿勢」を貫く親の行動こそが、改善への見通 しを得る近道であり、子どもにとっても必要な力を身につけて 行く最善の方法ではないかと思えます。

Please reload

© 2020 by Eleve Educational Services, LLC

  • Facebook Social Icon